建設業の経営事項審査

「建設業の経営事項審査を受け公共工事を受注したい」・・・・小規模の建設事業者様で自治体が発注する工事を請負い安定した工事売上を確保したいと考えられる会社様も多いのではないでしょうか?こちらのページでは経審(経営事項審査)とはどんな制度なのか?どのようなメリットがあるのか?また、どのような手続きが必要なのか?小規模建設事業者様の事業運営に役立つ経審に係る情報をお記したいと思います。

経審(経営事項審査)とは

経営事項審査とは国、地方公共団体などが発注する公共工事を直接請負うとする建設業許可業者が必ず受けなければならない審査です。公共工事の発注者が競争入札に参加しようとする建設業者について資格審査を行うとされており、客観的事項と主観的事項の審査結果を点数化し、順位付け、格付けを実施しています。上記の客観的事項が経審と呼ばれる審査であり、当該事業者の施工の能力や経営状況等を客観的に測り特定の指標によって評価したものであります。

なぜ経審が必要なのか?

公共工事の発注者である国や自治体の資金源は私たち国民が納めた税金であります。そのため、国や自治体は経審を行い、一定の経営基盤が整った建設業者を発注先に選択しなければならない事と、努力義務が定められているためです。しかしながら、一定の経営基盤を持ち信頼できる事業者であっても、毎回同じ建設事業者に工事発注を行っていると、特定の事業者のみ工事発注をし公平な制度として保たれません。従って公共工事の発注では「競争入札」が原則とされており、その発注のたびに経営事項審査の結果通知が求められる仕組みとなっているのです。

経営事項審査を受けるメリットは?

1.工事売上高の獲得と安定

経審を受ける大きな目的、メリットは公共工事の競争入札に参加できることです。公共工事の特徴は一般の民間工事に比較すると発注規模が大きく、安定した受注を長期に請負うことができます。発注元が国や自治体になりますので貸倒れ等のリスクもなく、継続して工事受注を行っていく事で安定した工事高を獲得できる事になります。実績が積み重なる事で業界での信頼性が増し、収益にプラスして自社の評価が向上するのです。

2.施工能力・実績についての宣伝効果

経審を受け公共工事の競争入札への参加申請を行うと、入札参加資格者登録が行われます。
登録を済ませた建設業者の格付評点やランク、経審点数などは一般公開されるため、誰でも情報を閲覧することができます。そのため民間事業者についても、できるだけ経営基盤が安定している業者に工事を発注したいと考え、情報が公開されれば、公共工事だけでなく、民間工事の発注を受ける可能性も高まります。民間事業者のなかには、経審を受けていること、または一定以上の経審点数を得ていることを条件にしているところもあります。

3.自社の経営状況を客観的に把握できる

企業が将来的に発展・成長を遂げるためには、常に現状の課題や問題を抽出し、その問題を解決・改善する必要があります。しかしながら、中小事業者において自社の経営状況を独自に把握するのは困難で、相応の時間と費用がかかってしまいます。経審を受けるとなれば、国土交通大臣や都道府県知事、および国土交通大臣の登録を受けた第三者機関(登録経営状況分析機関)が、省令に基づき、公正に審査・評価してくれるため、自社の経営状況を客観的数値により把握できるようになります。

4.経審手続きのイメージ

5.経営規模評価申請のために必要な提出書類

各自治体の行政庁への申請は下記の書類が必要となります。

①経営規模等評価申請書・総合評定値請求書
②工事種類別完成工事高/工事種類別元請完成工事高
③その他の審査項目
④技術職員名簿
⑤経営状況分析結果通知書の原本
⑥外国子会社並びに建設業者及び外国子会社についての数値の認定書原本(該当する場合)
⑦委任状(代理申請を行う場合)
⑧その他、雇用保険・社会保険の納入証明書等、技術者に係る資格者証、消費税納税証明書

上記の書類以外にも各自治体によっては提出を求められるものもありますので、事前に問い合わせを行っておいた方が良いでしょう。